「湯もみ型付けをすることで革の質が上がる」
恐らくグラブ、ミットが好きな方なら聞いたことがあると思います。
日本で最も湯もみ型付けをされているであろう久保田スラッガーのグラブを例として挙げます。
湯もみ型付け前
湯もみ型付け後
(湯もみの鉄人さんのHPより)
確かになんとなく良くなっている?ような気もします。
しかし、実際はどうなのでしょうか。
「革に水は大敵」というのはグラブ、ミットに限らず革ジャンや革靴なども含めた皮革製品の一般的な考えです。
実際に雨に濡れた革製品は硬くなったり、シミになったりします。
しかし、グラブ・ミットにおける湯もみ型付けは
「乾燥方法を工夫することによってそれを防いでいる」
と、されています。
また、先日の
「グローブ・ミットはなぜ腐らない?」
http://www.firstmitt.com/entry/2015/08/22/070000
で取り上げた「鞣し(なめし)」という工程で既に皮は1度水に浸されているので、実は革にとって水は大敵ではないという考えもあります。
しかし、私はこれに異論を唱えたいと思います。
「革に水は大敵です」
表面的には良くなっているように見えますが、確実に革の繊維は乱れていると思います。
では、なぜ湯もみ型付け後の革にはツヤが出ているのか。
それは、鞣しの工程で皮に浸透させた油が、湯もみ型付けによって吸ったお湯を乾燥させる工程で表面に浮き出てきているからなんです。
ということは、元から革に含まれていた油は少なくなっているということですよね。
良い革ほど油が入っています。
この油は市販のオイルとは全くの別物です。また、革本来の油でもあります。
これを果たして革質が上がっていると言っていいのでしょうか?