現在、日本には多くのメーカー・ブランドのグラブやファーストミット、キャッチャーミットが存在しています。
数年前にはこれほど多くのメーカーは無かったと思います。
それがなぜ、今日では増えているのでしょうか?
その原因は大手メーカーが海外に生産拠点を移転したことにあります。
ミズノやSSKをはじめとする大手メーカーは現在、一部の硬式グラブなど以外はすべて中国などの人件費の安い国で生産しています(最近は中国の人件費が高くなりつつあるため、今後はベトナムなど他の国に替わる可能性も)。
革の値段が高騰しているということも関係していますが、メーカーとしては生産コストの低い国で生産した方が、利益が出るので大手メーカーは次々に海外生産に移行しました。
海外に生産拠点を移したメーカーとしてはコスト削減ができて万々歳。
しかし、海外移転前に大手メーカーのグラブを生産していた日本の職人の方々は仕事を失ってしまったのです。
そして、仕事の無くなった職人の方々は自らメーカー・ブランドを立ち上げる、また小売店がオリジナルブランドを作り、グラブの製作を国内の工場に依頼するなどしてグラブやミットの生産を始めました。
日本の職人の方々はとても厳しい状況に立たされてしまったのですが、グラブを買う消費者としてはメリットがありました。
日本の工場や職人のいる製作所のでは大手メーカーではできないオリジナルなデザインや細かい注文まで受けてくれます。
一般人でありながらプロ野球選手のようにグラブ・ミットを作ることが可能になったのです。
とはいえ日本の職人の作った最高級の製品であっても広告力や流通力、生産量を比べれば大手メーカーには敵いません。
また、グラブ・ミットに限らず日本の職人と呼ばれる方々の高齢化、後継ぎ、減少など様々な問題を抱えています。
また日本では職人で生活していくことが難しいため、継がせたがらない職人さんも多いようです。
しかし、このような状態が続けば日本からグラブ・ミット職人が消えてしまいます。
もしかすると、数十年後の野球プレーヤーは日本の職人の作ったグラブやミットを使うことができなくなってしまうかもしれません。
今、私たちが職人さんのいる工房に行って話し合ってグラブ・ミットを作るということができなくなってしまうのです。
どこに行っても同じメーカーのグラブ・ミットばかりでは悲しいですよね?
このようなグラブ・ミットのフラット化、日本の職人さんを未来に残していくために、私たち現代の野球プレーヤーは「本当にいいグラブ・ミットとは何か」を知る必要があるのではないかと思います。
もちろん、大手メーカーや海外製のグラブが良くないというわけではありません。
ただ、野球をやっている方は是非一度、日本の職人さんの作ったグラブ・ミットを使って、良いと感じた方はインターネットなどで伝えていって欲しいと思います。
それが未来の野球プレーヤーのためになると私は思います。